体例をわかりやすく大解説
一度は耳にしたことのある「BPO」の正しい意味をご存じでしょうか?コンサル業界を目指すなら必ず押さえておきたい重要キーワードです。
企業の業務プロセスを包括的に外部委託するBPOは、今や多くのコンサルファームが注力する成長領域。人事、経理、IT運用など、さまざまな実務経験を持つ方がコンサルタントとして活躍しています。
私自身も数多くのBPOプロジェクトに携わってきましたが、この領域を理解することで、コンサルタントの仕事が具体的にイメージできるようになります。
本記事では、BPOの基本から活用方法まで、コンサル業界に関心のある方に役立つ視点で解説します。
BPOとは?
まずは、BPOの基本的な意味から整理していきます。
BPOは「Business Process Outsourcing」の略称で、企業の業務プロセスを一括して外部の専門事業者に委託する経営戦略を指します。単なる人手の補充ではなく、業務の企画設計から実行、改善までを包括的に任せる点が大きな特徴といえるでしょう。
企業が抱える業務には、利益に直結する「コア業務」があります。商談や商品企画、経営戦略の立案など、企業の競争力を左右する中核的な業務です。一方、経費精算や請求書発行、備品管理といった定型的な業務は「ノンコア業務」と呼ばれます。
BPOでは主にノンコア業務を外部に委託することで、限られた社内リソースをコア業務に集中させることができます。これにより、企業は本来注力すべき戦略的な業務に人材を投入でき、持続的な成長を実現できるのです。
近年、労働人口の減少や働き方改革の進展により、企業は効率的な業務運営を求められています。こうした背景から、BPOは単なる業務委託を超えた経営戦略として注目を集めています。
BPOとアウトソーシングの違い
BPOとアウトソーシングは混同されがちですが、委託する範囲が異なります。
一般的なアウトソーシングは、特定の業務タスクを切り出して外部に委託する手法です。経理部門の経費精算業務だけを外部業者に依頼したり、繁忙期に一時的に人材派遣を利用したりするケースが該当します。アウトソーシングは限定的な業務委託であり、業務フロー全体の見直しには関与しません。
対してBPOは、業務プロセス全体を包括的に委託します。経理部門の例でいえば、経費精算の申請フローから承認プロセス、システム運用、人材配置まで、一連の業務を丸ごと外部に任せることになります。
また、委託期間についても違いがあります。アウトソーシングは人手不足を補うための一時的な対応として活用されることが多いのに対し、BPOは長期的な視点で業務改善を進めるため、継続的な委託関係を築くのが一般的です。
BPOとITOの違い
ITOは「Information Technology Outsourcing」の略称で、IT分野に特化した外部委託を意味します。
ITOが対象とする業務は、システムの企画・開発・運用からヘルプデスク、サーバー管理まで、IT関連の業務全般です。委託形態は案件によって異なり、業務プロセス全体を任せるケースもあれば、特定のIT業務だけを委託するケースもあります。
ITOはBPOの一種と位置づけられ、対象領域がIT業務に限定されている点が特徴です。デジタル技術が急速に進化する現代において、最新のIT技術に対応できる専門人材を自社で確保するのは容易ではありません。ITOを活用すれば、高度な専門性を持つ外部の技術者に業務を任せられます。
BPOとBPRの違い
BPRは「Business Process Re-engineering」の略称で、業務プロセスの再構築を通じて抜本的な業務改革を目指す取り組みを指します。
BPRは既存の業務プロセスを根本から見直し、組織全体の効率化を図る目的であり、BPOはその目的を達成するための手段という関係性にあります。業務改革を進める過程で、効率化すべき業務を特定し、それらを外部の専門事業者に委託することで、BPRの実現を加速させることができるのです。
コンサルとして多くの企業支援に携わってきた経験から申し上げると、BPRを推進する際に外部の視点を取り入れながら業務を標準化し、専門事業者の知見を活用することで、短期間での改革が可能になります。
BPOのメリット
この章では、BPO導入によって企業が得られる具体的なメリットについて整理します。
コストの削減
BPO導入の大きなメリットの一つが、人材採用や育成、設備投資にかかるコストを抑制できる点です。
ノンコア業務を自社で抱える場合、担当する人材の採用費用、教育研修費用、給与や社会保険料といった継続的な人件費が発生します。加えて、業務に必要なシステムやインフラの導入・維持にも相応の投資が求められます。
BPOを活用すれば、こうした初期投資を大幅に削減できます。外部の専門事業者は既に業務遂行に必要な体制を整えているため、企業側は委託費用を支払うだけで高品質なサービスを受けられるのです。また、従量課金制を採用している事業者であれば、固定費を変動費化できるため、ビジネスの繁閑に応じてコストを柔軟に調整できます。
リスクを抑えることができる
大きな初期投資が不要となることで、事業環境の変化に応じた軌道修正がしやすくなる点も見逃せません。固定費として抱えた人材や設備は、新規事業への参入や事業撤退の判断を下す際に大きな足枷となります。
BPOであれば、状況に応じて委託内容を変更できるため、経営リスクを最小限に抑えられます。
業務プロセスおよび業務品質の改善ができる
BPOを導入する過程では、業務プロセスの見直しが不可欠です。この作業を通じて、これまで見えにくかったボトルネックを洗い出し、業務フローを最適化できます。
専門事業者は特定の業務領域で豊富な経験を持っているため、業務品質の向上も期待できます。経理業務であれば最新の会計基準や税制改正に精通した専門家が対応するため、自社で情報をキャッチアップする負担が軽減されます。IT分野であれば、常に進化する技術トレンドに追随し、最新のツールやシステムを活用した業務遂行が可能です。
法律やITといった変化の激しい領域では、社内で最新動向を追い続けるには相応のリソースが必要です。BPOを活用すれば、専門事業者が環境変化に対応してくれるため、企業は戦略的業務に集中しながら、変化する環境にも柔軟に適応できます。
社内リソースの最適化
BPO導入の最大のメリットといえるのが、社内リソースをコア業務に集中できる点です。
多くの企業では、社員がノンコア業務に多くの時間を割かれ、本来注力すべき戦略的な業務に十分なリソースを投入できていません。営業部門の社員が顧客訪問の合間に経費精算や日報作成に追われていたり、人事部門の担当者が定型的な労務手続きに時間を取られていたりするケースは珍しくありません。
BPOによってノンコア業務を外部に委託できれば、社員は利益に直結するコア業務に専念できるようになります。営業担当者は顧客との関係構築や提案活動に注力でき、人事担当者は採用戦略の立案や組織開発に時間を使えるようになるのです。
社内リソースの最適化は単なる業務効率化にとどまりません。社員が付加価値の高い業務に集中できる環境を整えることで、組織全体のモチベーション向上や、新たなビジネス機会の創出にもつながります。
BPOのデメリット
BPO導入には多くのメリットがある一方で、注意すべきデメリットも存在します。主なリスクを整理していきます。
ノウハウの蓄積や内製化が難しくなる
BPOでは業務プロセスを丸ごと外部に委託するため、自社内で当該業務のノウハウを蓄積することが困難になります。
これは中長期的な視点で見ると大きなリスクです。もし将来的に業務を内製化する方針に転換した場合、社内にノウハウが残っていないため、体制構築に相応の時間が必要となるでしょう。また、BPO事業者を変更する際にも、業務の引き継ぎがスムーズに進まない可能性があります。
このリスクを軽減するには、委託先との定期的な情報共有の機会を設けることが重要です。月次や四半期ごとの報告会を実施し、業務遂行のプロセスや改善内容について共有してもらうことで、自社側でも業務の実態を把握できます。
情報漏えいのリスクの発生
外部に業務を委託する以上、機密情報や個人情報、財務情報といった重要なデータを委託先に開示する必要があります。ここで懸念されるのが情報漏えいのリスクです。
たとえ外部企業の過失によって情報漏えいが発生したとしても、それを未然に防げなかった委託元の企業にも責任が問われます。顧客や取引先からの信用失墜は避けられず、場合によっては事業継続に大きな影響を及ぼす可能性もあります。
BPO事業者を選定する際には、セキュリティ体制やコンプライアンス対応が万全であるかを入念に確認することが欠かせません。具体的には、情報セキュリティマネジメントシステムの国際規格である「ISO27001」やプライバシーマークの取得状況を確認するのが有効です。
BPOの対象となる業務領域と具体例
BPOが活用できる業務は、バックオフィス業務からフロント業務まで多岐にわたります。これまで支援してきた経験を踏まえて整理すると、主に7つの領域で活用されています。
人事領域
人事領域では、採用計画の立案から応募者管理、選考進捗管理といった採用業務が委託できます。健康診断やストレスチェックの管理、福利厚生施策の企画運用、社会保険や入退社手続きのサポート、給与計算業務なども対象です。人事業務は法令改正への対応が頻繁に求められるため、専門事業者に委託することで最新の法令に準拠した運用が可能になります。
経理領域
経理領域では、伝票入力や支払代行、請求書作成、入金消込、債権債務管理、固定資産管理といった定型業務が委託の対象です。月次決算や年次決算、連結決算といった専門性の高い業務についても、経験豊富な専門家に任せることで、正確性の向上が図れます。
法務領域
法務領域では、契約書のチェック業務や法律相談対応、株主総会の運営サポート、登記業務、知的財産権に関する対応などが委託できます。法律の専門家に業務を任せることで、法的リスクを低減しつつ、社内の法務担当者はより戦略的な業務に注力できます。
総務・庶務領域
総務・庶務領域では、社内問い合わせ対応、受付業務、備品の発注管理、文書管理、名刺発注管理、防災対応、社内イベントの運営サポートなどが対象です。これらの業務は企業運営に欠かせないものの、直接利益を生まない業務であるため、BPOによる効率化の効果が特に大きい領域といえます。
営業・マーケティング領域
営業・マーケティング領域では、マーケティング戦略や営業戦略の立案、データ分析、企画ディレクション、Webサイト制作支援、SNS運用管理、営業資料作成、営業ツール導入支援、テレマーケティング、営業代行などが委託できます。デジタルマーケティングの専門家に業務を任せることで、最新のマーケティング手法を取り入れた施策展開が可能です。
コールセンター・コンタクトセンター領域
コールセンター・コンタクトセンター領域では、顧客からの問い合わせ対応やアポイント獲得、サービスの活用支援などが委託の対象となります。電話だけでなく、メールやチャット、SNSといった多様なチャネルに対応できる専門事業者も増えており、顧客接点の質を高めながら社内リソースを最適化できます。
情報システム領域
情報システム領域では、社内ヘルプデスク、デバイス管理、マニュアル制作、セキュリティ対策支援、アカウント管理、システムやネットワークの監視保守運用、システム開発やインフラ構築、新規システムの導入支援などが対象です。IT分野は技術の進化が速いため、最新技術に精通した専門事業者に委託することで、常に最適な技術環境を維持できます。
BPOの需要が高まっている理由
近年、BPOサービスの市場規模は着実に拡大しており、今後も成長が続くと予測されています。
最も大きな要因は、深刻化する人材不足への対応です。日本の労働人口は減少の一途をたどっており、多くの企業が必要な人材を確保できない状況に直面しています。加えて、働き方改革により長時間労働の是正が求められるなか、限られた時間で業務を遂行するための工夫が不可欠となっています。
こうした環境下で、企業は外部リソースを活用することで組織を機能させる必要に迫られています。BPOを導入すれば、社内の人材不足を補いながら、従業員の業務負担を軽減できるため、多くの企業から支持を集めているのです。
また、急激に変化するビジネス環境への対応も、BPO需要を押し上げる要因となっています。現代はVUCA時代と呼ばれ、将来の見通しを立てにくい状況が続いています。ビジネス環境が変わるたびに新しい人材を採用して育成する方法は、費用や時間の観点から現実的ではありません。BPOであれば、必要に応じて外部リソースを柔軟に活用できるため、経営の機動性を確保する手段として重要性が増しています。
BPOの契約形態
BPOを導入する際には、業務委託契約を締結することになります。契約形態には主に3種類あり、委託する業務の性質によって適切な形態を選択する必要があります。
請負契約
請負契約は、受託側に依頼された業務の達成が求められる契約形態です。
成果物の完成が契約の目的となるため、もし成果物にミスや欠陥が生じた場合には、受託側に責任が追及されます。受託側からの途中解約はできませんが、委託側は受託側の損害を賠償すれば契約解除が可能です。
なお、委託側が受託側の作業者に対して直接的に業務指示を行うことは偽装請負という違法行為に該当するため注意が必要です。対象となる業務例としては、システム開発やWebサイトのデザイン制作などが挙げられます。
委任契約
委任契約は、法律行為を委託する場合に用いられる契約形態です。
業務遂行に対して責任が発生しますが、成果物の完成義務はありません。対象となる業務例としては、登記業務や訴訟対応、税務申告といった法律の専門家が関与する業務が該当します。
準委任契約
準委任契約は、法律行為以外で最終成果物がない業務における業務遂行について責任が生じる契約形態です。
案件の完成義務はなく、期待した結果が得られなくても受託側は報酬を受け取れますが、受託側には善管注意義務が生じます。善管注意義務とは、善良な管理者として通常求められる程度の注意を払って業務遂行する義務のことです。
対象となる業務例としては、システム運用保守、コールセンター運営、コンサルティングサービスなどが挙げられます。契約形態を選択する際は、委託する業務の性質を正確に見極め、目的や責任範囲について共通認識を持つことが重要です。
まとめ
本記事ではBPOについて解説しました。
コンサルとしてのキャリアを築くうえで、BPOをはじめとする業務改善の手法を理解しておくことは非常に重要です。私自身も多くのプロジェクトを経験してきましたが、クライアント企業の課題を正確に捉え、適切なソリューションを提案するには、こうした基礎知識が欠かせません。
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